創what?

詐欺カルトからの覚醒メソッドを主軸に、世の中に蔓延る「なんとなく受け入れているもの」に風穴を開けましょう。こちらは、膨大な量の刷り込みにより凝り固まった思考を解きほぐし、自分らしさを解放し自由に生きる為のブログ。

カルトスカウター・6

 しかめっ面のいかつい親父が出てきたら、どうすんべ、と内心胆を冷やしていた自分が、本気で馬鹿らしくなってしまった。
 伯父さんは、にこやかに出迎えてくれた。

 挨拶と自己紹介を終えると、伯父さんは居間に案内してくれた。
 好物のみやげを喜んで下さり、仕事の話や私の家族の話等を聞かれた。

「そうですか、ライアーさんの家もお父さんが」
「はい。うちのは、どこかで元気にしているとは思うんですが」

 私の父親こそ、それこそ子供を作ったらいけない種族だ。そう思っていた。
 私に、自身の夢だったであろう野球の才能がないと見込んだ瞬間から、目を合わせることも無くなった。一切の支援も無かった。事ある度に、母親からの謝罪。私はそれしか聞いたことがない。
 専ら、祖父が父親代わり。高校まで行かせてくれたのも祖父だった。
 中学生から武術を始めたのも、あの親をぶっ飛ばす為に始めたようなもんだ。そんな標的だった男はいつの間にか、家に帰ってくることもなくなった。

 妻の伯父さんは、どことなく私の祖父と、同じ匂いがした。地道にひたむきに働いてきた、そんな顔をしていた。

「伯父さん。お線香あげたいんだけど、いいかな」
「おお。ちょっと待ってな。片付けてくるから」

 妻にそう答えた伯父さんは、奥の仏間へと消えた。
 居間の周りを見渡してみても、宗教関係のようなものは見当たらない。まあ、新聞なんかあったところで、それが証拠なんていえる根拠もないが。

「ライアー、どう?」
「んにゃ。わからねぇな」

 伯父さんが戻り、仏間へと案内された。
 仏間は居間よりも広く、仏壇もかなりの骨董品レベルだったが、大きくて立派な作りだ。
 遺影と位牌の奥に、題目の書かれた本尊があった。

 額縁に飾られた数々の賞状に、名誉の文字。あのマーク。
 間違いなく、伯父さんは創価学会員だった。
 妻が囁いた。

「どう?」
「……だね」

──この時、もしも軽々しく「実は私も学会員なんですよ」なんてヘラヘラと口にしていたら、恐らく伯父さんは、私との結婚に反対したかもしれないなと、今では本気でそう思う。私がそんな人間には育たなかった、周りの大人に感謝だな。

 墓石を見てから、ずっと心に引っ掛かっていた。
 義母や妻に信仰を押し付けなかった、義父。そして義父の一族と伯父さん。

 学会員だからって、それが何だ。活動家だとか、そうでないとか、それが何だというのだろう。人には、どんな人にだって、簡単には踏み込んではいけない過去があるんじゃないのか。いや、踏み込めないよな。
 何も言うまい。そう直感し、決断した。
 時間が解決することもある。私がガミガミとでしゃばるような話ではない。
 私がしなければいけないことは、伯父さんに対しても、妻を幸せにすると、宣言することじゃないのか。他に何が出来る。

 妻の心配そうな目に無言で微笑み返し、焼香を済ませた。

「伯父さん、ライアーも学会員なんだよ」

 お前!

「そうなんか」
「ええ、はい、まあ、一応」
「そうかい

 ほらみろ、トーンダウンしてるじゃねえか!

 察した。伯父さんは、これ以上、話を広げるでもなく、笑顔だ。
 俺からも、何も言うまい。

──後に、父方の祖母は心の病で亡くなったことを知った。猛信者だったそうだ。 


「これからも、宜しくお願いします」
「うんうん。身体に気を付けて、頑張んなさい」

 優しい目をした伯父さんは、私達の車が見えなくなるまで、門から見送ってくれた。
 妻は、愛されていると感じた。

続く。